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映画化「二度めの夏、二度と会えない君」のあらすじネタバレ結末

2017年秋、映画化される赤城大空による名作
「二度めの夏、二度と会えない君」

nidonatsu

赤木大空といえば弱冠20歳の時に小学館ライトノベル賞を
受賞したラノベ界の新星です。

赤城大空の作品はラノベの特性を生かした奇抜なキャラクターと、
スピード感のある台詞回しで読者を惹きつけますが、

この「二度目の夏、二度と会えない君」は恋愛小説として
非常に丁寧に書かれており、ライトノベルファン以外の方も楽しめます。

ちなみに赤城大空は2015年にこの作品を発表していますが、
先にご紹介した受賞作が全11巻のシリーズものとして大ヒットする中での執筆でした。

この時、全く違ったテイストで人気の作品を作り上げる
実力のある若手作家として注目を集めました。

この秋に公開が予定されている実写映画では実際にガールズバンドで活躍する
吉田円佳やAKBの加藤玲奈が出演するなど、話題性も十分です!

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タイムリープ×バンド×恋愛 王道の青春恋愛小説

本作は、きわめてオーソドックスな恋愛小説です。

それは一文で言えば大病に冒されて亡くなった女子高生と彼女に惚れている男子高生が、
タイムリープで過去に戻って再会し、失敗した経験を修復しようと奔走する物語です。

しかも二人は同じバンドのボーカルとギターで
学園祭での演奏がクライマックスなのですから、
最近人気のアニメを一挙に凝縮したような感覚すら覚えます。

しかし、この小説の面白いところはこうしたどこかで聞いたことがあるような話の中に、
赤城大空らしいオリジナリティを散りばめており、全く退屈しない点にあります。

このあたりのセンスが、赤城大空の実力といえます。

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彼女に想いを「伝えない」為に過去に戻った主人公

物語は主人公の篠原智の独白で進みます。

篠原智は彼の大好きな女の子である森山燐(りん)が急逝したことに、
激しい後悔の感情を持っていました。

それは死に際の彼女に対して「好きだ」という想いを伝えてしまったことでした。

突然の告白にうろたえた彼女は、歪んだ顔で搾り出すように言います。

「みんなのことを、仲間として大切だと思っていて、

そ、そんなことを言われても迷惑だし、

なんでこんな…最後になって、あたしにこんなことを言わせるの」

そして彼女は一言「ごめんなさい」と書かれた
手紙を篠原智に渡しこの世を去るのでした。

主人公は自分が彼女を傷つけてしまったことに
悩み続け抜け殻のような日々を送ります。

そしてある日、土手から足を滑らした瞬間、
彼女と出会う直前の過去にタイムリープするのでした。

過去に戻った主人公は、「もう二度と自分の想いは伝えまい」と決意します。

この篠原智の行動こそがこの小説の核心部であり、赤城大空の真骨頂だと思います。

死んだ愛する人とタイムリープで再会したのに彼女を死から救うのでも、
残された時間を彼女と共に過ごすのでもなく、
できるだけ彼女に関わらないようにするという道を選ぶ男子高生。

この極めて消極的な行動の中に自分の気持ちを整理できない葛藤と、
彼女との美しい思い出をできるだけ壊すまいとする
ロマンチックな姿を見て取り多くの読者が惹きつけられていくのです。

少しずつズレていく二人の気持ち

タイムリープした後、篠原智はどれだけ拒否しても、
まるで運命のように憐と同じ過去を過ごすことになります。

結局はバンドを組んで文化祭で演奏することになってしまうのです。

彼は自分の想いがどれだけ彼女を不幸にするか知っていたので、
なんとしても好きという気持ちを隠そうとします。

ですが、自分の気持ちだけは伝えまいと意識すればするほど、
元気のなくなる憐に気付きます。

そして天真爛漫でいつも自信たっぷりだった森山憐が、
実は自分の想いに依存していたことを知るのです。

こうして少しずつ変わっていた二度目の夏の学園祭で、
憐に自分の想いをぶつける主人公。

「俺にとって、お前とのライブ以上に大事なものなんてねーってことだよ」

それは彼がはじめて伝えた彼女への本当の想いでした。

ハッピーエンドを待っていたのに…

智の想いに応えて彼女は自信を取り戻し、学園祭ライブを大成功させます。

ライブ終了後、憐は泣きながら「こんなに幸せで、いいのかなぁ」とつぶやくのです。

やっと想いが通じ合った二人。

誰もが二人には幸せになってほしいと願う中、彼女は二度目の最期を迎えます。

病室で別れを惜しむ二人には、もはや確かめなくてもお互いの想いは伝わっています。

しかし形にすれば壊れてしまう「好きだ」という気持ちを前に、
二人はこれまでの関係性を維持する道を選びます。

病室を後にした智はタイムリープの目的を達成でき、
憐が幸せな最期を迎えられただろうことに、大成功だったと必死に気持ちを整理します。

しかし彼女を失った悲しみがとめどなく噴出して、もがき苦しむ智。

この残酷な運命の中で悲しみに果て疲れきって薄れゆく意識の中で、
主人公はタイムリープが終わったことに気付くのでした。

篠原智は彼女を二度失いました。

それは結局は同じ運命だったと言えるかもしれません。

しかし彼は自分の手元にあった「ごめんね」と書かれた手紙が
「あたしもきっと、智君と同じ気持ちだったよ」
と書き換えられていることに気がつきます。

変わらない運命の中で、二度も彼女を失って初めて、
彼は自分の想いを肯定的に捉えることができるようになります。

そして、やっと前を向いて歩き出すのでした。

変わらない運命の中で

以上が「二度目の夏、二度と会えない君」のあらすじとなります。

ところで、この主人公が経験した不思議な体験は特殊な経験だったのでしょうか。

それは誰しもが理不尽な運命に直面したときに
行う気持ちの整理そのものではないでしょうか。

避けられない運命を前に、多くの方が自分のこれまでのあり方を省み後悔するでしょう。

しかし至らない自分自信をいくら卑下しても、その後悔は晴れることはありません。

結局は自分自身を肯定することでしか後悔は乗り越えられない
ということを篠原智と森山憐は教えてくれています。

それはつまり、誰しもがタイムリープが必要であると言えるのかもしれません。

主人公は憐に「好きだ」と伝えませんでした。
こうして彼らは永遠に結ばれたのでしょう。

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