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映画「エヴェレスト神々の山嶺」の感想とネタバレ魂が震えること間違い無し

標高5000メートル級での撮影は日本映画史上初とあって
前評判の高かった「エヴェレスト 神々の山嶺(いただき)」ですが、
正直ヤバかったです!

everest

映画館内はちょっと暖房が効き過ぎかなというくらいの
温度だったのですが、鳥肌で全身震えるとは思いませんでした。

わたし自身山登りの経験は一切ないですし、
山を登るという行為はお世辞にも一般的とは言えません。

ただそんな方でも十分過ぎるくらい心に響くものを
感じられる作品だということは断言できます。

ここからはネタバレを含みますが、あらすじを交えながら
本作の魅力を綴っていきたいと思います。

癖のある二人の登場人物

メインとなる登場人物は岡田准一さん演じる山岳カメラマンの深町誠と
数々の登頂記録を打ち立てつつも消息を絶ったクライマーの羽生丈二(阿部寛さん)

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物語はネパールのカトマンズから始まるのですが、いきなり
雪山から滑り落ちる凄惨な事故シーンが描かれます。

everest2

この事故を目の前にしてシャッターチャンスとばかりに
カメラを切り続けるのがカメラマンの深町です。

野心的で仕事熱心といえば聞こえはいいのですが、
深町の姿に同僚たちは呆れ顔を隠せず予定していた
写真集の出版もキャンセルになってしまいます…

やるせない気持ちを抱えながら街中をふらついていた深町は、
ある店の古いカメラにふと目を止めます。

そのカメラは山を登る理由としてあまりにも有名な「そこに山があるから」
という言葉を残したジョージ・マロリーの持ち物ではないかと深町は考えます。

店主と値段交渉をしてそのカメラを手に入れようとしている
最中に一人の大柄な男が現れるのですが、この男が羽生丈二です。

羽生は自分のことを日本人だとは名乗らないのですが、
深町はその鋭い眼光を見て消息不明となっている
羽生丈二だということに気付きます。

帰国後、居ても立っても居られなくなった深町は
羽生の関係者に次々と取材を敢行。

そこで明らかになった羽生の人柄は深町がかわいく思えるほどの
強烈なものだったのです…

ザイルを切るべきか否か

取材から見えてきた羽生の人間像は山バカでとにかく自己中心的。

パートナーと制覇した登頂も自分ひとりでも可能だったと
本人の前で言い切りパートナーから愛想を尽かされる始末…

そして極めつけは羽生が所属していた山岳部で起きた
とある話題に対する返答です。

それはパートナーと登攀していて片一方が助からないと判断した時、
ザイルを切れるかどうかというテーマ。

seil

ザイルという言葉は登山関係者以外には馴染みが薄いと思うのですが、
登山用のロープのことですね。

他のメンバーはそんなの切れるわけがないと盛り上がる中、羽生だけがただ一人、
綺麗事だと吐き捨て自分は即座にザイルを切ると断言するのです。

この件を機に羽生はますます孤立していくのですが、
風間俊介さん演じる岸文太郎だけは彼を慕い続けます。

しかしこの後、羽生と岸の二人にまさしくこの話題
(ザイルを切るか)が現実として降りかかってしまうのです。

岩肌から滑り落ち宙吊り状態になった岸とザイルで繋がっている羽生。

観ていておへその辺りがキューっとなるような怖ろしいシーンなのですが、
大方の予想通り岸は帰らぬ人となります…

表の理由としてはザイルは岩で擦れて切れてしまったと処理されるのですが、
周囲の疑惑の目は羽生に向けられるのでした。

俺を撮れ。

そのただならぬ人物像にいまだに何か大きな事を狙っていると
直感した深町は会社に直談判を行い再びネパールへと向かいます。

現地で羽生捜しに四苦八苦する深町ですが、なんとか手掛かりを見つけ
彼がこれから成そうとする前人未到の目標に心を踊らせます。

羽生が狙うのは「冬季南西壁 単独無酸素登頂」という命がいくつあっても
足りないような尋常ならざる目標で、深町はこの勇姿をなんとしても
シャッターに収めようと決意します。

camera

当初は撮りたいなら勝手に撮れと投げやりだった羽生も、
懸命に食らいついてくる深町を評価してか、

「俺を撮れ。俺が逃げ出さないように」

と言い残し登頂をスタートするのでした。

ザイル事件の真相

自分を撮影することを許可した羽生ですが、
決して慣れ合いを許したわけではありません。

ここからは何があっても干渉はしないと自分の命は
自分で守るよう深町を突き放します。

深町自身もそれで上等と言わんばかりに必死に羽生の後を追うのですが、
ここで思わぬアクシデントが発生します。

深町を襲ったのは凍った雪の塊でヘルメットを
着けているとはいえ頭上に直撃。

helmet

もとよりあまりの過酷さに疲労困憊気味であった深町は
宙ぶらりんの状態で徐々に意識を失っていきます。

深町本人も自分の命を諦めたかに思えたその瞬間、
彼を助けに現れたのは「羽生丈二」その人。

登頂スケジュールが狂うのを承知で深町を背負い込んで
断崖絶壁を登り始めたのです。

序盤では血の通っていない冷徹な男という印象で描かれていた
羽生ですが、決してそんなことはありませんでした。

羽生を慕っていた後輩・岸文太郎とのザイル事件の真相も
実は岸本人が羽生を巻き添えにしないようにザイルを切っていたのです。

真実をきちんと証言すれば良いものの、それをうまく言えない
不器用さも羽生という男の人柄であり魅力なのだと思います。

羽生、エベレストに死す

深町も意識を取り戻し、無事に一夜が明けた頃、
いよいよ羽生が最大の難所に挑むことになります。

目の前に立ちはだかる崖は場所によっては90度の垂直を超えている
全く人を寄せ付けない岩肌で、その圧倒的な自然の偉大さには
畏敬の念が湧き上がってくると思います。

こんなの登れるはずかないと静止する深町をよそに黙々と
登り始める羽生はまさに孤高の天才クライマー。

このまま無事に登頂してくれと誰もが固唾を呑んで見守る中、
エヴェレスト付近の雲行きがどんどん怪しくなっていきます。

目も開けていられない呼吸すらまともにできないような悪天候が襲いかかり、
羽生が麓(ふもと)に戻ることは二度と無くなってしまうのです。

頂きを目指す深町

羽生の死をなかなか受け入れられない深町は帰国後、
しばらく自暴自棄な生活を送ることになります。

今までは山岳カメラマンとしての名声を追い求めていた深町ですが、
目的を見失って糸の切れた凧のようになってしまうのです。

これから自分が何をすべきかあてのない深町は
その答えをエヴェレストに求めます。

彼は羽生が辿ったルートでの登頂を目指し、
再びネパールに飛び立つことに…

亡くなった羽生が乗り移ったかのように雪山を淡々と登り始める深町、
彼の耳にはベースキャンプから悪天候を心配するトランシーバーの
声も全く届いていません。

ひたすら山頂を目指し一歩一歩と足を進める深町ですが、
そんな彼の目に羽生の亡◯が映ります。

凍傷で変色してしまった羽生の亡◯の側には手書きのメモが残されており、
その内容には多くの方が魂を揺さぶられるはずです。

memo2

(セリフは一言一句覚えていないので原作から引用)

あしが動かなければ手であるけ。
てがうごかなければゆびでゆけ。
ゆびがうごかなければ歯で雪をかみながらあるけ。
はもだめになったら、目であるけ。
目でゆけ。
目でゆくんだ。
めでもだめだったら
おもえ。
ありったけのこころでおもえ。
想え。

この執念、この情熱に多くの人が魂を揺さぶられ
頭をガツンとされたに違いありません。

こうして文章としてご紹介するだけでも鬼気迫るものを感じると思うのですが、
岡田准一さんや阿部寛さんの迫真の演技、そしてエベレストという
舞台が揃ったからこそ、この迫力説得力があるのだと思います。

物語の展開としては再び悪天候が深町を襲うのですが、
彼の「生きたい」という強い想いが下山を成功に導きます。

氷点下数十度という極寒にさらされフラフラになりながらも
無事に生還するシーンは緊張しっぱなしの心を緩めてくれ
ほっと安堵させてくれました…

冒頭でも触れましたが、テーマが山ということで、
あまり関心の無い方もいらっしゃるのかもしれませんが、
そんな事は一切関係なく観賞できる映画です。

ここ最近、心が震えるような映画を観ていないという方は
是非ともスクリーンでお楽しみいただきたいそんな一本です。

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